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アニメーション 表現とコンセプト

杉本真帆×早瀬交宣

インタビュー作品紹介









夢日記解体 by 早瀬交宣
<文:杉本真帆>






 夢は記憶のコラージュである。と彼は話した。

 脳は寝ている間に自らが貯蓄している記憶を組み合わせ、無意識のうちに映像化し、夢として見せられているという。つまり、彼はこの脳の仕組みを逆再生させたことになる。夢をひとつひとつ分解して、記憶の引き出しに戻してやると、夢の素は日常の風景に戻っていく。
 そう、夢は別に神秘的なことではないのだ。組み合わせによってそう見えているだけなのだ。本編のシュールな非現実世界と、彼の現実的な日常への変換。この対比はとても滑稽で面白い。
その本編に『時間』という要素を取り入れる為に彼は映像化した。この夢日記そのものを文章で読むと、縦の軸と横の軸(行動とタイムライン)を別々に読む事はできない。それを実現させる為に、彼は5つのモニターを使った。別々の5つの映像が交差することによって空間の中でコラージュされ、ひとつの物語となるのだ。



 彼はコラージュを分解している。今回は、夢というコラージュをさらに分解しているんだと言う。コラージュとは、誰でも無意識に行っている事がある。その当たり前にやっている行為を意識的にさらに分解していく事で現象を客観的に捉えていくのだ。彼は、コラージュを使ってまだまだ新しい事が出来る気がするという。
 今回も今までの視覚的な要素のコラージュから、意識的な要素でのコラージュに進化している。新しい試みを続ける彼は、次は何を分解し、新たな物を創り出すのだろうか。




childhood fantasia by 杉本真帆
<文:早瀬交宣>






 幼少時代の多くを90年代のシカゴで過ごした杉本。車移動が多いアメリカでは、日本のように地域の子供が集まる遊び場というものが少ない。まして外国人の我々が子供だけで遊びに行くことはまれだ。そんな事情もあり、彼女は大学時代に、自分の幼少の記憶にポッカリ穴が空いていることに気づかされた。

 そんな幼少期を追体験したい!と強く感じたのがこの作品のきっかけだったと話す。このロトスコープアニメーションは、彼女が仕掛けた地図づくりワークショップのまさに現場で起こった偶発的事象(生身の子供たちの行動や反応)と子供たちの生の想像力をそのまま閉じ込め、幻想的な光と音の世界に紡いでいく。
 それゆえ、作者の意図に合わせて生命を吹き込んでいくアニメーションとは内容も制作方法も180°異なることが分かるだろう。生々しく、画面に入りきらずに動き回る子供たちを見れば一目瞭然だ。



 それだけではない。ハプニングを仕掛ける所から始まり、アニメーションの向こう側に見えるものまでも含め全てが "Childhood Fantasia" という作品であり、アニメーションの新しい形を提示している。早く参加してくれた子供たちに見てほしい、と杉本は言う。
それもまたこの作品の一環である。空気に触れさせ、多くの人に見てもらい、実際のワークショップに落とし込んだり、反応をフィードバックさせることで、この作品は呼吸し続けるのだ。

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